ある悪癖のソネット
ただのみきや
ものごとすべて悲劇として捉える
あるいは 喜劇として
どちらも悪癖のようなもの
だけど他人の痛くもない下っ腹を刺して
オタマジャクシをいっせいに泳がせたり
頭の中へ一石投じ忘れたものを波立たせ
芋づる式に感傷を引っ張り出したり
できるのなら 才能とも呼ばれよう
喜劇と悲劇の巧な匙加減
カクテルでふんわり酔うように
日毎の雑事さえ淡く輝いて
ありきたりの人生だって
才能ひとつでシェークスピア気分 まあ
ほとんどは悪癖でしかないのだけれど
《悪癖:2017年12月13日》