絶望の角度
草野大悟2
穏やかな秋晴れの日に、絶望の角度を測っていた。
「その角度は、希望だ。死に至る病だ。間違いない」
昂然と、苦渋に満ちた青白い顔を上げて叫ぶ男が近づいてきた。
── おかしな事を言う。
あなたは確か、「絶望は死に至る病」と言ったのではなかったか。
絶望の角度が百六十度を超えると希望と呼ばれるようになるんだ。
そして、そこから二十度右回転して直線になると、あとはひたすら絶望の中を漂う。
── つまり?
つまり、三百六十度の宇宙の中で咲きほこる希望は二十度の愛だ。
それ以外は絶望という闇ということだ。
── わけがわかりませんけど…
分かる必要もないし、分かるはずもない。
── どういうことですか?
つまり
── つまり?
そういうことだ。
───えっ?
だから、そういうことだ。
今言ったことが真理という実態の全てなのだ。
───へー、そうなんですか。
そうだ。
ぼくは思わず、分度器を床に叩きつけた。