今宵その夜
坂本瞳子
群衆の中で孤独を覚え
ふと虚しさに襲われる
抵抗する術もなく
笑い飛ばす寛大さも持ち合わせず
気づかないふりをすることもできず
時間だけが過ぎてゆく
なんとなく取り繕うために
空を見つめる
都会の汚れた空気が
せめてもの慰めにさえ思われる
雷のごとくに罅が入る瞬間は
予告なく訪れる
そのときを待っている
孤独に苛まれる夜が明けるのを
膝を抱えて
涙を堪えて
下唇をかみしめて
今宵こそと
自由詩
今宵その夜
Copyright
坂本瞳子
2017-12-02 11:54:17