薄墨色の空
坂本瞳子

薄墨色の空は
不安を掻き立てる
なにか良くないことが
起きるのではないだろうか
そんな予感で胸がざわめく
それはある種の期待ともいえる
高揚感を抑えつけても隠しきれない
そのような淡い期待だろうと言われたら
どうにかして否定したりできるものだろうか
そんなことはどうしたってできはしないであろう
もうなんとも抗いようのないこの心に逆らうことなど
決してできることはないのだから早い内に諦めてしまえ
一切合財をかなぐり捨てて川の流れにその身を委ねてしまえ
そんな囁きが頭の中で幾度となく繰り返されるのを必死になって
覆そうと試みては薄墨色の空を睨みつけ今もこうしてここに立っている


自由詩 薄墨色の空 Copyright 坂本瞳子 2017-11-24 14:48:46
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