あの日
ヒヤシンス
あの日、貴方が見せた笑顔は優しさそのものだった。
あの日、貴方が零した涙は悲しみそのものだった。
あの日、貴方が褒めた私は嘘そのものだった。
あの日、貴方がくれた温もりに気付けなかった私。
あの日は遠く陽炎のようで。
あの日はまるで夢だったようで。
あの日に起きたこと全部忘れられないようで。
あの日ですべての時が止まったようで。
悲しみの後で訪れた不思議な感覚。
貴方という水辺で私という花は咲いていたのに。
気が付くと、公園で一人で泣いていた。
あの日がセピア色に染まってゆく。
貴方を思い出にしたくない。
公園に訪れたあの日の暮色が愛おしい。