飯を炊く老婆
もっぷ
ヒバリの翼が目覚めた日
空ゆく雲は祝福して座を明け渡した
囀る声も高らかに
大きな舞台を謳歌する
揺らぐ柳の影は濃く標され
その枝は優しく枝垂れる
薄桃色の花吹雪に霞む路を
黄色いカバーの付けられたランドセルが往き来する
そんな頃が一番良かった と
ため息をついている老婆が独り
常冬の山奥に棲み 過去を弄っている
セピアとなり 角の折れ曲がった写真たちに囲まれて
腰も折れ曲がったその老婆は
今日も釜で飯を炊く
自由詩
飯を炊く老婆
Copyright
もっぷ
2017-11-17 22:25:44
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