もり



AK-47の薬莢が
地面で弾ける音をヘッドフォンで聴いている
厨房ではたった今
ナンプラーが回しかけられ ぼくたちはまた一歩
首都から 遠のいていく

海岸に並べられた
籐のゆりかごで
眠る 赤ん坊たちの寝息は
連続、ではなく
それは 一筆書きの水平線
揺れるプア 永遠
どんなに曲がりくねった人間も 最期にはまっすぐな心電図

渇いた野良猫が
牛乳をなめ衰弱していく様を前世から見ていた
愛を分解する酵素が少ない
だから あなたに会うのは
休みの前日がいい いつも
わがままで、ごめんね
電話をいつまでも切れなくって あえてトンネルに
迷いこんでみたり
体質なの ちがう
じゃなくて 運命

今の今まで
ひとつ ひとつ ひとつ ひとつと
未来を奪ってきた
ひとつ ひとつ ひとつ ひとつの 薬莢が いっせいに空から
降ってくる日に
私は 今度こそ 撃ち抜かれ
深く 沈もう
そう 砂浜に 彫られた 頬を
涙が 拭いさる 一瞬を
遠くの 汽笛を
夢を
迎えに来た


自由詩 Copyright もり 2017-11-08 23:58:02
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