十月の薔薇
ただのみきや
年に二度バラを買う
六月と十月 ほんの数本ずつ
ずっと深紅のバラだったが
ここ何度かピンクだったような気がする
バラほど美しい花はない
見つめているとそう思う
自分のためには決して選ばない花
女王のように象徴的 その名だけでも匂う
そして早々と萎れる 血は濁り炎は黒ずみ
ことさら醜く感じさせる 他の花よりも
一輪ごとに切断され 値札の付いた幻想
数日後には生ゴミと一緒に捨てられる
いつしか憐憫も乾いてただ勿体ないと
惰性のバラ テーブルにひとひら紅く
《十月の薔薇:2017年11月1日》