逃避
ヒヤシンス
秋の夕暮れ、お寺の境内でようやく歩き始めた小さな君が笑っている。
空の彼方に雁の群れが飛んでゆく。
秋の夕空は私の感情に似ている。
どうしようもなく弱いくせに明日に希望を託している。
小さな天使はそこら中をよちよち歩いている。
今では私は私の胸の中でその光景を眺めている。
私の道程、忘れる事は出来ないようだ。
新たな出会いが私を孤立させるというのか?
全ての分かれは恐ろしい。
人生の綱渡りはもう疲れた。
私を知る人のいない所へ行きたい。
秋よ、秋。
私をどこか遠くへ導いておくれ。
お前の季節が過ぎ去る前に。