STROBE
むぎのようこ


とどかない
比喩にうるおっても満ちはしなくて
コンクリートの水辺にはゆがんだ
月が浮かんでいる
さして、おもしろくも
ないひかりにおかされて夜は
雨になり浸透する
加速しながら泳ぐ群れのひとつひとつ
の目を
さらって
それからのことは飽和するばかりで
ひたひたとシャツは透けていった


君のこどくが
ただ砂になって濾過する季節が雪になって
ほどなくして汚れていくのは
それは
ただ黙って見上げるだけの
現象
スマートフォン越しになにかつぶやいて
へだたっていることだけを
鮮明に現像するのに
ぼくらは他人で
たましいがなくて触れられないし
触れない


たてかけた感情を鏡にして
うす淡くわらった
にび色にまみれたそら
よろこびをわかつための発光
すかすあお
噎せかえるような
湿り気を束ねて漂白する傷みを
映す
ためのひとみ











自由詩 STROBE Copyright むぎのようこ 2017-10-21 20:56:28
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