夢の手触り
石瀬琳々
冬の城明け渡すとき水中で愛を交わしてウンディーネのように
雨そして夢から醒めた余白には君のではない愛の降りしきる
君の目に春を捧げる、遠い日に誰かに焦がれ散りし花びら
海鳴りを聞いて一夜の契りとして花をちぎって含む眠りを
夢の花白くていっそ目を閉じる抱きしめられて海の果てまで
砂浜にさびしく光るガラス片破船の旅を君を夢見る
夏は行く忘れ去られた塔の影窓越しに見た輪回しの少女
幾千のひかりに打たれて口づけるほろびいくものなつかしいもの
たぐり寄せる夢の手触り近づいて遠のいてゆく秋草の果て
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薊道