童話の二人
ただのみきや

あなたの顔は童話みたいに分かりやすくて
いつまでも 謎のまま

パラパラとページをめくる日々
いい加減で 面白くて

障子紙で漉したやわらかな光の砂時計
始まりも終わりも確かにあったはずなのに

いつか失くした一冊の絵本のように
闇に閉ざされたままの主人公が

寓話の縫いぐるみを被ったままの
選べないだけで残酷とは言えない事実が

おしよせる波を見ようともしないで
砂の塔を築く二人のかわいい愚かさが

大好きと大嫌いのシンメトリー
水鏡の上に爪先立つ 自分の方こそが

比喩にすぎない揺らぐおぼろな花にも扮し
愛し憎んで 憎んで愛し

あなたの顔は童話みたいに分かりにくくて
いつまでも 蛹のまま 



            《童話の二人:2017年10月7日》








自由詩 童話の二人 Copyright ただのみきや 2017-10-07 19:22:56
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