心象風景
寒雪

微妙に寝苦しい夜更け
いつの間にか眠りについて
目を開けると
眼前に地獄への十三階段
両手を顔の高さまで
ゆっくりと持ち上げて
握った拳を開くと
何にも持ってなかった
まさしく徒手空拳
ああ
これから門を潜って
閻魔様の審判を受けるというのに
戦うための何物も持ち合わせていないとは
はてさてどうしたものか
思案を巡らしていると
不意に頭上から大きく泣き叫ぶ猫の声


猫?
猫!


そう思ったと同時に
目が覚めた
そりゃ夢だよな
夢に決まってるよな
こちらが起きたのに気付いて
トーンをさらに上げる猫
ベッドから起きてご飯を用意してやる
嬉しそうに食べる猫を見ながら
リアルだった地獄の階段に思いを馳せた


自由詩 心象風景 Copyright 寒雪 2017-09-26 00:56:18
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