音楽が辺りを
ただのみきや
音楽が辺りを小刻みに震わせる時
からだが先に踊り出す人
静かなうねり 心地よい慣性
グラスの中のブランデーのように
心は 甘く揺らめいて
音楽が辺りを小刻みに震わせる時
暗い片隅に身を定める人
青白い石膏像 侵食された
グラスの中のシャンパンみたいに
心は 絶えず呟いて
音楽が辺りを小刻みに震わせる時
光を仰ぎながら潜水する人
耳もやわらに まどろむ猫
グラスの氷が解けるように
心は 澄んだひとつの体温
《音楽が辺りを:2017年9月23日》
自由詩
音楽が辺りを
Copyright
ただのみきや
2017-09-23 17:17:35
縦