雨上がりの玄関に腰をおろして空を見ている
オイタル

空がまだらに光っている
飛び去った雨の記憶が
まだ薄っすらとかかっている
まだらにかかっている

空に穴を開ける
輪郭の正しい きれな穴を
縁が黒くナイーブに切り落とされて
小さな丸い光の粒が盛られている

観葉植物が緑色に光っている
くるくると
うつむいていた頭をもたげる
路地の向こうのその先の思い出を見ている

鉄棒を揺らす少女たち
栗の花 葉先の落とす雫の気配
背後を過ぎる黒塗りのダンプ
見られている斜めの古い冷蔵庫 はにかんで

動かない壁の絵のように
雨上がりの玄関に腰をおろしている
動かない絵の私のように
空を見ている


自由詩 雨上がりの玄関に腰をおろして空を見ている Copyright オイタル 2017-09-23 14:24:33
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