九月の雨
ヒヤシンス


 ほんの少しの願望に疲れを感じる昼下がり。
 九月の雨は遠く憂いを含んでいる。
 彷徨う人は彷徨い、佇む人は佇み。
 寂しがり屋の誰かの心は僕を郷愁に誘う。

 非日常の中に日常を見つけては嘆き、
 日常の中で非日常を探す日々を過ごし、
 時が経てば過ぎ去った過去を美化し、
 美しい思い出の中に今を築こうともがいている。

 自分探しの旅に出る気力も今はなく、
 ただ人の思い出の中に生きようと願うばかりだ。
 疲れが祈りに変わる事もあるのだ。

 九月の雨が寂しく響いている。
 僕は僕のキャンバスに今日もまた描くであろう。
 愛している、と。
 


自由詩 九月の雨 Copyright ヒヤシンス 2017-09-23 06:15:21
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