九月の雨
ヒヤシンス
ほんの少しの願望に疲れを感じる昼下がり。
九月の雨は遠く憂いを含んでいる。
彷徨う人は彷徨い、佇む人は佇み。
寂しがり屋の誰かの心は僕を郷愁に誘う。
非日常の中に日常を見つけては嘆き、
日常の中で非日常を探す日々を過ごし、
時が経てば過ぎ去った過去を美化し、
美しい思い出の中に今を築こうともがいている。
自分探しの旅に出る気力も今はなく、
ただ人の思い出の中に生きようと願うばかりだ。
疲れが祈りに変わる事もあるのだ。
九月の雨が寂しく響いている。
僕は僕のキャンバスに今日もまた描くであろう。
愛している、と。