秋 ふたつ
秋葉竹

秋、ひとつ

秋の夕べは鈴虫が鳴く
静止する赤トンボをぬらす
虹かける公園の噴水
ながめ芝生で寝ている

少年のとまどいを笑顔にかえる
木の枝に吊るされた果実より
甘ったるい嘘と
虫の音が聴こえる草むら

ブランコを漕いだむかし
その隣には子供の頃のあなた
朝を待つ眼がこぼれ落ちそう
氷の視線でそれを見つつ堕ちる

街の灯はやがてやつれ果てた
一匹の白い蛇をあぶり出す
もしかしたら その死のダンスを
窓から見るのは 裏切りとでも?

秋、ふたつ

秋の 夕べ 虫のね
静止する 赤トンボに かぜ
虹色の 噴水を ながめ
公園の 芝生 寝ている

神々の 怒りを 笑顔に
木の枝に 吊るされた 果実
よりも 甘ったるい 嘘
ほんと 聴こえる 草むら

ブランコを 漕いだ むかし
隣には 子供の あなた
朝を待つ 風が こぼれ
氷りつき 見つつ 堕ちる

ともし火は やつれ 果てた
一匹の 白い 蛇を
照らし ころし 燃やし
さがし 言葉 消える


自由詩 秋 ふたつ Copyright 秋葉竹 2017-09-15 23:26:32
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