『しょっぱいおっぱい』
座一



夏の暑い日
しょっぱいおっぱい飲みたい
ぼくは泣いているのに
どうしてひとり置いてくの

病気がちな ぼくを
病院まで連れて行く
握った手が いつもより固く繋がれて
いつもより早足で ぐんぐん景色を追い越していく

小さな手 さいわいの日々
もうどこかに行ってしまったけれど
戻れない 戻りたい
あの温かい背中を もう一度抱きしめたい

しょっぱいおっぱい
涙の味
あの時は気付けなかった

しょっぱいおっぱい
汗の味
いっぱいいっぱい愛されてた

ありがとう
ありがとう
ありがとう

産んでくれて、
育ててくれて、ありがとう。


自由詩 『しょっぱいおっぱい』 Copyright 座一 2017-09-12 12:04:57
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