教室
秋葉竹

「悲しみって 日替りね」
少し軽めの春の陽気がつぶやく

金色の教室で新しいサヨウナラを見つけた
無人の机は古びた傷を刻んでいた

君の挨拶もサヨウナラとつぶやいていた

悲しみの言葉から彼は逃げていたのだろうか
つながりはどこにもなくただの傷だったのだろう

傷口にすり込んだ君の凍えた評価や点数に
涙目が明らかにかすれて

君は不器用に一言をしぼりだす
その諦めは新しい夢を生み
かつてない眺めを

花冷えの朝に見る
濃いめの筆力で鉛筆をぐんぐん書き込んで
目覚めたら手の届きそうな三色の虹

教室の窓ガラス
キラキラ散りばめられたダイヤモンド

かつて誰もが見たという白銀の陽光
あたるあたたかな笑顔

脆弱な者が夢を見る現実の正しさは無視し

それさえ
新しい若者の新しい癒しになるとしても

いったい
空気凍てつく無言を
突き崩されないよう守っている
君は
いまも癒しなど求めているというのか


自由詩 教室 Copyright 秋葉竹 2017-09-03 23:31:58
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