草色
石村






花がしづかに揺れてゐる。

その横に小さな言葉がおちてゐる。

姉さんがそれをひろつて、お皿にのせた。


子供たちは外であそんでゐる。

まぶしいほど白いお皿に、うすい草色のそれがのつてゐる。


「ひとつしかなかつたけど」

と姉さんがいつた。


かなしさうな顔だつたが

わたしは姉さんの顔をおもひ出せない。

そこだけがいつも、はつきりしない。




(二〇一七年五月二十九日)








自由詩 草色 Copyright 石村 2017-08-31 01:39:18
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