少年はギターを抱いて眠る
岸かの子2
偽善で覆いつくされたこの世界はいつも
優しい言葉を待っているのか待っていないのか
閑寂の中に一抹の寂しさを覚えるのは
大人に慣れてしまったのか
人は簡単に人を裏切る いつもだよな
偽善で覆いつくされたこの世界はいつも
凡百な毎日は よぉ俺たちは野良犬以下かもな
会話はいつも夢の話
退屈な毎日がリフレインするばかりだ
蝕む暑さにくたくたになってチャリンコこいで
路上で歌う
小銭が少し
二人でビール半分ずつの日当だ
昼下がりの片隅 俺たちはギターを抱いて寝ていた
どこにもいけるあても無くなったな
どんちゃん騒ぎもできねぇな
金は大事だけどお前とお前のギターがあれば
俺たちは無敵だ そう思っていた若い若い若すぎる頃
突然お前はいなくなる
俺は独りぼっちだ
どこへお前は行くのだ
俺を残して夢は掴まないのか
約束はどうした
鉄の塊に撥ねられたお前は白い着物をきせられ
頭には包帯を全部巻かれていつもの様に
ビールを半分飲んで寝た時の様に
美しく横たわっている
ひん曲がったギターが持ち主を無くして困っているじゃん
希望はもたねぇよ
お前がいないと夢なんて叶えられるわけない
お前が愛したギターを形見に
俺はお前と思い添い寝する