短い間
花形新次

人の純粋は
思春期から成人までの
ある時期の
ほんの短い間だけ

人になる前の純粋は
自然なだけで
時に驚くほどの
残酷さを伴うし

完全に人になってからの純粋は
いつも条件付きだから

その瞬間に
パッと輝いて
消える

本人すらも気付かない
そんなもの



最近、アニメ映画にハマっている
あるオッサンが呟いた言葉

オッサンは
ひとりで
映画館に行き
ひとりで
号泣し
ひとりで
昔を思い出す

家に帰って
力説するも
純粋さの欠片もなくした女房に
「はい、はい・・・・」
と軽くあしらわれて

ひょんなことで
殺意を抱く

そんなオッサンの純粋が
行き着く場所があるのなら
教えて欲しい






自由詩 短い間 Copyright 花形新次 2017-08-28 13:58:29
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