夏の日差しが
ヒヤシンス


 夏の日差しが音を立てて崩れてゆく。
 音楽は鳴り続けていた。
 誰かの後ろに隠れているのは誰?
 曇天は私の心模様に似ている。

 誰かの奏でる音楽に耳を澄ませていた。
 時折見せる夏の輝きは水晶のように季節を浄化する。
 窓辺で揺蕩う帆前船は私の心だ。
 透き通る言の葉が頼りなげにノートに浮かんでいる。

 希望と絶望が交互に私の胸へとやって来る。
 夢は去って行き、現実が迫り来る。
 灯りのともらない部屋で音楽は鳴り止むことがない。

 雲よ去れ!夕空の彼方へ。
 風よ吹け!季節の巡りを便りに。
 夏を取り戻した日差しが静かに秋の到来を待ち侘びている。


自由詩 夏の日差しが Copyright ヒヤシンス 2017-08-26 04:32:03
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