見知らぬ空が
ヒヤシンス


 見知らぬ空が今日もやって来る。
 貴方は暖炉の前で歌を唄い、私はキャンバスの前で筆を握っている。
 ささやかな想いはカーテンの隙間から顔を覗かせ、
 私の下手くそな口笛を笑っている。

 明日も空は見知らぬものとなってやって来るだろう。
 貴方の弾くピアノの前で私は今日と同じように筆を取るだろう。
 ささやかな想いは風に散ってしまうかもしれない。
 けれども私の想いよ、お前は何度でも生まれ変わる事が出来る。

 愛する人の前で私は怯えている。
 貴方の心が他の誰かに向けられる事に。
 貴方の心が私を忘れてしまう事に。

 今、見知らぬ空のもと、私達は幸せを迎えている。
 厳かに、そしてとても静かに。
 この幸せを私は確かな心でキャンバスに刻み込むのだ。 


自由詩 見知らぬ空が Copyright ヒヤシンス 2017-08-14 03:27:32
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