忍野水香

晩夏に聞く蝉の声はせつなさが漂う
時折、声が小さくなったり
一際大きくなったり
最期の力を振り絞っているようで

今朝、玄関の前に蝉の亡骸が転がっていた
なぜ、こんなところで死んだのだろう
せめて最期はコンクリートの上ではなく
土のある場所で最期を迎えてほしかった

そんな風に思うのは
人間の勝手なエゴかもしれないが
生きるもの全ては
土に還るのが自然だと思う

蝉の一生は短い
が、人間の一生もまた
地球の歴史と比べれば
ほんの一瞬、瞬きのようなものだろう

いつ、どこで最期の瞬間を迎えるかなんて
自分自身にさえ分からない
思いもよらぬ場所で
一人、寂しく逝くのかもしれないが

 まあ、それでもいいさ

なんて、蝉の亡骸を見て心の中で呟いた

 






自由詩Copyright 忍野水香 2017-08-11 00:55:55
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