タブレット
shell-lamb

標識は錆びていて
わたしたちはそこでよく待ち合わせた
林檎のかたちの金属につまづいて転んだ
ときにできた傷がちょうど膝のところにある
おちくぼんだそこをなぞるのが癖だったのだけれど
きみの指はつるつるしすぎているような気がしてあまり好きでなかった
どちらかというと
髪を触られる方が好きで
梨のかたちのミュージックボールの音がした
わたしはしゃりしゃりと梨を齧るときには決まって
からだの中のみずが逆流していると感じるのだけれど
標識を触っていた手のひらは鉄くさい
2時に待ち合わせるときはいつも雲がはやく流れているのだった
そうして
のみかけたサイダーのぷつぷつは
なんかいも
消えたりうまれたりした


未詩・独白 タブレット Copyright shell-lamb 2005-03-11 23:15:21
notebook Home 戻る