Apfel 融解する夏の景色へ
おっぱでちゅっぱ。

朝焼け、
   揺らめき、
       余韻。


桔梗色の空が眠たそうに。
蜂蜜のような日光が射して。
風薫るのは、
狐と彼岸のまだ湿る精神の融解でした。
あたしの住んでいる
この街と景色。が、
つぎつぎと歌い出すから、
吹く西風。に、
木々の雫。が、
季節なの。

(いっせいにきらめいたりしたんだよ)

(せいいっぱい)

(やさしいだけじゃないの)

(きらきらしているの)

その雨後の庭先。の、先。
二、三本の曼珠沙華を摘んでは、
あたし。は、秘密を。
震える指先に。添える。

(ふあんていに)

(あおく)

(もえているの)

優しく美しい狐の花火ね。
樹下。の、まばらに、
でもあたしの眼にはぎっしりと。
小さな群になって咲いている。

昨晩の街明かりよりも濃く、
紅に近く。
思い出にしたくない。
のそのままで、
あたしはそれを。
かき氷にして、
一輪挿しへ

活けたなら。
     月夜とか。
花火とか。


(つめたくて、あまい)
(しゃらしゃらしていて)
(とける、とける、)


坂道を登りきるまでの距離。
遠くの蒼い海。を、思い。
しかしながら、
境界線。で、現実を隔てていた。


ゆく
    さよなら
しないと
    ゆめ



あたしの居場所。

ぼわり炎と狐でかこむ。

じわりと再び焼かれる。


狐の花火が呼んでいるから。
おやすみなさいの時間。

あたしは、
むこうがわで、
呼ばれている。の、が。
聞こえるの。


浴衣姿、林檎飴。
彼岸と、彼岸。と、

もう時間ですから。
ね。


はかない命。に、
永遠を感じるためには、
あたしにとって、ここの。
寂しさと静かさとが
暫くの間は、
必要なの。絶対必要なの。
と。



あ、あ。



海鳴りで伝えてきます。
浜茶屋の喧騒と風鈴に混じりながら。
猫が、前足。で、
うねり。を、つくり。

あたし。は、ゆらりとしながら夏眠。
夢うつつに背中に羽根のある鯨は
蒼弓を仰ぐから、見上げました。

たかく、たかく、
みおろす、みおろす、

砂浜の白に、
なんてきれいな眼をしているの。猫。
夏のコンフィチュールに
柑橘への風をリフレインさせているの。猫。

足跡を拐う波に、爪先を取られながら。
見上げているあたしは。
いっとう、あおいいろがすきなんだ。夏。

(あおく)

(もえているんだ)

~repeat.








自由詩 Apfel 融解する夏の景色へ Copyright おっぱでちゅっぱ。 2017-08-05 14:46:38
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