母は恐怖のただ中で
私を身ごもり
恐怖と共に私を生み落とした

空には暗雲が立ち込め
灰色の風が吹きすさび
恐ろしさの中　
母の乳首をくわえていた

震えていた
恐怖のただ中で母にしがみつき
泣いていた

平安を求めたのに
母も恐れて震えていた

心の底で恐れが支配し広がっていった
全てが怖かった　恐ろしかった
眩暈の中　立ちつくし硬直した

震えていた
ずっと　ずっと震えて育った
平安が欲しかった

恐れは私を縛り付けていた
解放を求めたが得られなかった

母の胎は居心地が悪く
緊張を強いられた

私にとって
この世は初めから居心地が悪く
恐怖そのものだった

母は恐怖のただ中で
私を身ごもり
恐怖と共に私を生み落とした