去来蝶
ただのみきや

白い蝶 光の眩暈
追って追われて
追われて逃げて
見えない糸が絡んだように
もつれてはなれ
はなれてもつれ
火照った空気に乗っかって
この夏の向こうへ


恋と憎しみは良く似ている
(鼻をつまんで注意すれば)
見えない糸が絡んだように
はなれていても思い出し
もつれにもつれ
火照り切った頭の芯から
冷やかな嘲笑 あるいは
うっとりと寒い台詞


白い蝶 発火する意識
追って追われて
追われて逃げて
あの逃げ水――言葉の向こうへ




              《去来蝶:2017年8月2日》









自由詩 去来蝶 Copyright ただのみきや 2017-08-02 20:00:38
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