みずうみ
むぎのようこ




しろく燃える膚のぬくみに
なぐさめられる
ほどこしようのない夜も
あかつきには埋もれて
身体で濾過をする
そむいたところから
咲いてゆく
花のにおいは
もう
饐えている
にび色の蜜がまとわりつく
喉の奥


ささやかな明るみに
脅えても
のみくだした雲が
雨を降らせば
うるみ、ひたひたと、
更新される水面
えがかれた風のあしあと
その、きらめき
沈みこむ膚の冴えざえとした
褪色によろこんでも
せあわせに
もう
影をだいている


底からきた
さかながちらちらと脈の
中で跳ねて
うろこを降らせては
みなそこから
浮かぶばかりのあぶくが
はぜては
睫毛をゆらす


しろく燃えつき、
おびやかさない夜へ
つたうみずの痕
たどってはなぜる草熱れ
のけぞっては
ほめる骨
あかつきが這うつちを
あらってはかえる
みずうみ、
せあわせの影





















自由詩 みずうみ Copyright むぎのようこ 2017-07-29 17:10:47
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