向日葵
星丘涙

海は悲しく吠え 蝉しぐれが煩くて
わたしは耳をふさいでいた

庭の向日葵がやけに明るく咲き誇り
空に入道雲が暴れていた

夏の日に祖父は逝ってしまった
水平線に舟をこぎ出すように旅立って逝った

初めての肉親の死であった
海の見える墓場で線香をあげ手を合わせた
何を祈ったのかは覚えていない

八月の空は太陽がいっぱいだった
庭の向日葵は明るく咲き誇り
妹が縁側でままごとをして遊んでいた

海は悲しく吠え 蝉しぐれが煩くて
わたしは耳をふさいでいた

青い海の色が悲しかった



自由詩 向日葵 Copyright 星丘涙 2017-07-29 15:49:34
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