いぶき―旅立った義父に捧ぐ―
服部 剛
夫婦で、出かける準備をする
告別の朝
在りし日のお
義父
(
とう
)
さんが見ていた
テレビがふいに、点いた
夫婦は顔を見合わせる
(からだを脱いでも
御魂
(
みたま
)
はおられる )
夕刻、お義父さんは骨となり
家に戻った
(可愛がられたダウン症児の幼い孫は
ちらちらと気配を窺い)
空色の写真の中にいるひとと
お互いの目を、合わせ
これからの日々の不安を搔い
潜
(
くぐ
)
る、決意で
語る〈ありがとう…〉のいのり
我が家における、新たな季節
その部屋の窓から
幽かな息吹きに
カーテンはふくらむ
自由詩
いぶき―旅立った義父に捧ぐ―
Copyright
服部 剛
2017-07-25 00:54:01
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