延命装置
ミナト 螢

窓に差し込む光のパレード
雀が鳴いているうちはまだ良い
目覚まし時計で僕は一度死ぬ

ブラインドの羽根を回す力で
景色を切り刻む夢を見ていた
皆殺しの朝をミルクで薄め
コーヒーはいつもと同じ味だ

膨れ上がった頭の形を
鏡の前で芸術だと思う
触れたら壊れてしまう僕だから

呼吸の音で測れない命を
とても大切に育てて来たんだ

美しかった空になりたくても
肺活量が足りずに僕は死ぬ

金魚のように泳ぐ水はないが
机に向かって詩を書く時は
寿命が少しだけ延びた気がする


自由詩 延命装置 Copyright ミナト 螢 2017-07-20 11:42:52
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