想いが舞う
坂本瞳子
気持ちがふんわりと宙に浮かんでいる
ふと気づくと想い出に捕らわれていて
目の前の仕事は進んでいない
二人目だ
一週間と経たないうちに
二人も親しい人が地上から飛び立って行った
お別れの挨拶もできずに
気づいていてくれただろうか
私が抱いていた
敬意を
憧れを
愛情を
そういえば一度も言葉として伝えたことはなかった
伝わってはいなかっただろう
こんな風に想いを馳せると
文字が滲む
二人目を失って
一人目への喪失感を覚えるだなどと
なんともやりきれない
まあフラフラしているさ
この私は
この地上で
まだやらなければならないことが
あるらしいから
今宵はもう暫く
想い出に浸っていたいけれど