渇いた時間
坂本瞳子

半開きの口を閉じもせず
瞬きさえできず
虚ろな面持ちで空を見つめる

ソラではない
クウを見つめているのは
どこを見たいとも欲することなく
なにが見たいのかも知る由なく
目を泳がさないため

手の平が乾いているのを感じる
唇もかさついている
足の甲どうしを擦り合わせたくないのは
砂が混じりそうだから

全身で表現できているのだろう
反らした顎から見せつける渇きは
輝きさえも放つほどに美しく

痙攣しているような錯覚を覚える肩甲骨は
自分のものではないようだ

脈が流れているのを感じないのに
鼓動は打たれている
時刻が止まることはないように


自由詩 渇いた時間 Copyright 坂本瞳子 2017-07-01 23:16:04
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