渇いた時間
坂本瞳子
半開きの口を閉じもせず
瞬きさえできず
虚ろな面持ちで空を見つめる
ソラではない
クウを見つめているのは
どこを見たいとも欲することなく
なにが見たいのかも知る由なく
目を泳がさないため
手の平が乾いているのを感じる
唇もかさついている
足の甲どうしを擦り合わせたくないのは
砂が混じりそうだから
全身で表現できているのだろう
反らした顎から見せつける渇きは
輝きさえも放つほどに美しく
痙攣しているような錯覚を覚える肩甲骨は
自分のものではないようだ
脈が流れているのを感じないのに
鼓動は打たれている
時刻が止まることはないように