永遠の夜
ヒヤシンス
誰でも自由に自販機でタバコが買えた頃、あれは15の夜だった。
わずかな金さえあればタスポなんていらない時代。
最初のタバコを吸いこんだ時の高揚感。
格好つけたがりの少年は大人との境界線で夜の街に煙を吐いた。
仲間の家に上がり込み、焼酎をサワーで割って飲み明かした夜。
酒の限度も分からずにあらゆる思いとゲロをぶちまけた日々。
将来の夢と希望だけを延々と語り尽した。
昭和の夜は俺達の唯一の避難場所だった。
あれから30年の歳月が経った。
自慢にもならない人生であらゆる経験をした。
夢は一つずつ炭酸の泡のように消えていった。
けれども本質は何にも変わっちゃいなかった。
反省をすることはあっても後悔はない。
密度の高い時代を過ごせたことに感謝している。
人は感謝の気持ちさえ忘れなければ何とかなるもんだ。
これからも俺達の旅は続いてゆくのだろう。
そんなことをふと思う夜だった。