永遠の夜
ヒヤシンス


 誰でも自由に自販機でタバコが買えた頃、あれは15の夜だった。
 わずかな金さえあればタスポなんていらない時代。
 最初のタバコを吸いこんだ時の高揚感。
 格好つけたがりの少年は大人との境界線で夜の街に煙を吐いた。
 
 仲間の家に上がり込み、焼酎をサワーで割って飲み明かした夜。
 酒の限度も分からずにあらゆる思いとゲロをぶちまけた日々。
 将来の夢と希望だけを延々と語り尽した。
 昭和の夜は俺達の唯一の避難場所だった。

 あれから30年の歳月が経った。
 自慢にもならない人生であらゆる経験をした。
 夢は一つずつ炭酸の泡のように消えていった。
 けれども本質は何にも変わっちゃいなかった。

 反省をすることはあっても後悔はない。
 密度の高い時代を過ごせたことに感謝している。
 人は感謝の気持ちさえ忘れなければ何とかなるもんだ。
 これからも俺達の旅は続いてゆくのだろう。

 そんなことをふと思う夜だった。
 
 
 

 
 
 
 
 


自由詩 永遠の夜 Copyright ヒヤシンス 2017-07-01 07:03:43
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