ゼロハチ

あなたがあの夜話そうとしたこと

わたしは聞かなかった

朝になり、あなたはこの世界からいなくなった


あなたが名前を教えてと言っていたこと

わたしは教えなかった

夜が訪れる前に、あなたもこの世界からいなくなってしまった


こんな風に、いなくなってしまう

ぬくもりも、手のひらからすぐに消えていった


あなたたちは、私にとって全てだったのに



わたしなんかが朝を迎え
わたしなんかが夜に佇む

毎日毎日、命を食いつぶして

わたしはどうして生きているのだろう


わたしは今もくりかえしている

二度と触れられることもないのに
同じことを繰り返している


歩けぬわたしを背負ったあなた

恐れるわたしを抱きしめたあなた


ちいさなわたしを愛してくれたあなたたち


わたしがいなくなっても
あなたたちと同じところへは行けないのだろう

だから今はいなくならないように
歯を食いしばって歩いている


あの夜話したかったことは何

教えてほしかった名前は何


わたしができたことは何


愛していました

愛していました


愛してくれてありがとう





自由詩Copyright ゼロハチ 2017-06-30 21:29:09
notebook Home