宙ブラリ
ミナト 螢
満員電車を降りた時から
この世界のスピードに乗れなくて
鳥籠の中でバタ足をしてる
交差点で待つ信号の青
最大瞬間風速の今を
働く人は駆け抜けて行くのに
僕には羽ばたく空がなかった
水を浴びた午後は目が冴えてくる
仕事は無理でも人間になろう
僕が見つめる全ての命に
優しい名前を付けてあげたい
心は幾つもの雲を流れて
体が追い付けない場所へゆく
揺れて揺れて止まらなかった涙
誰かの足元に落ちたらきっと
街は極彩色のカーテンだ
自由詩
宙ブラリ
Copyright
ミナト 螢
2017-06-29 16:01:17