蛇が寝るまで
無地

ミニカーをコマ撮り 空から滴る雨 家の屋根は紺、茶、赤
線路はとぐろを巻く ずるりと地球を這う
次々に人を丸呑みした
黒い煙が巻く ぐるりとわたしを囲う
心にもない言葉を吐く 生きると誰かを失う

電柱の行列 茂る緑は空気を揺する 川の上を渡る橋
線路は鎌首をもたげる ぬるりと地球を舐める

高い音をたて牙が地面を削る
腹の中で外を眺めてあくびをかみ殺す
鱗を落としながら
柔らかい肉の壁にもたれて
かすかにこぼれる光に触れた

暴れないようになだめすかして
痛くないように優しくして
どろどろに眠くなるまで放っておいて
形にとらわれないかたちになるまで

トンネルの中は黒



自由詩 蛇が寝るまで Copyright 無地 2017-06-26 08:49:09
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