立春
次代作吾
立春の日
わたしは何も見ていなかった
空の青さも
道端のサムシングも
自分も
すべて が通過し
何も心に残らない
右足を前に出し
つぎに左足を前に出す
一瞬一瞬を生き延びていた日
わたしは何も見ていなかった
空の青さも
道端のサムシングも
自分も
すべて が通過し
何も心に残らない
右足を前に出し
つぎに左足を前に出す
一瞬一瞬を生き延びている
苦痛の根源がここにある
一冊の名著だって気休めさ
明日になれば
また陽はのぼって
無慈悲に西へ沈んでいく
なんという暴力だろう
春が来るなんて
割り切れない