専門用語は何時だって難しいから
藤鈴呼
ころころと色を変える
春もみじを見つめながら
明日の天気を占えば
必ずしも晴れるとは 限らぬのに
自信満々のトーンが響く
派手な演出で 笑顔のあなた
まるで 怖いものなど
何一つ
知らぬかのように
イカラセタ肩で
風を切る代わりに
断ち切りバサミを手にすれば
擦れ違う 美しかった関係ごと
ばさり
たまに松の上に現れる
アオサギの羽根よりも
きっと 大きな音がした
この時期が 一番 美しいのです、と
ガイドの女性が告げた
どんな都会の鴉よりも
まるまると肥えた姿が
青天井の虚空を照らす
照明の方法など 関係なく
常に 光り続けていた
幻想的な闇が
瞬いている
それで 明日は必ず 晴れるのですか
問いかけたが 応えはない
明日のことなど
誰にも 解らぬのだ
希望的観測で 物を言えば
笑顔の花が 咲き乱れるのに
余計な一言で
この空間をも 断ち切ろうとする
それが 迷惑だったと見えて
鋏の音が 余計に響く
カシャン カシャン
三度目は 落下した音
何時か見た ピーナツの欠片より
大きな音
小気味良くは 響かず
向こう側までは 届かず
ただ 私に 出来ることはと言えば
酒のつまみとして
主役には なれぬ代わりに
噛み下すことしか なかった
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