解放の日
ヒヤシンス
解放の日、森に朝霧流れ、緑の木々が薄青に沁みている。
貴方の透き通った声が森に響き、鳥たちは讃美歌を歌っている。
まったく突然に新しき日々が訪れた。
それは過去を失った人々にも同じ事。
どこからともなく白い天使が舞い集う。
天使は竪琴の女神に寄り添い、鳥たちの歌声を花環で飾る。
貴方の声が霧と共に流れ、私のテラスにやってきた。
ささやかな朝だ。
私は一人テラスに腰掛け、貴方の声と鳥たちの歌声を聴いている。
音楽は自然の中から生まれ自然の中へと消えてゆく。
天使と女神の出現は私から一時の消失を忘れさせる。
深い悲しみは霧のようにやがて去る。
それは朝だ。
彷徨う優しさは光り輝く森と溶け合い、新しき調和が生まれる。
美しき自然との融合。
やがて歌声は光の輪となって天上へと昇ってゆく。
優しさを纏って穏やかな貴方の声だけが私の心に今も響きわたる。
錯乱と狂気がすっかり影を潜める森の中で私は・・。
精神の解放。
清らかな心で迎えよう。新しき日々を。
そして私は一歩また一歩と踏み出すのだ。
朝の奇跡を忘れないように。
貴方の事を忘れないように。
そして何より自分自身を見失わないように。
解放の日。私の森は静かに輝いている。