解放の日
ヒヤシンス


 解放の日、森に朝霧流れ、緑の木々が薄青に沁みている。
 貴方の透き通った声が森に響き、鳥たちは讃美歌を歌っている。
 まったく突然に新しき日々が訪れた。
 それは過去を失った人々にも同じ事。
 どこからともなく白い天使が舞い集う。
 天使は竪琴の女神に寄り添い、鳥たちの歌声を花環で飾る。
 貴方の声が霧と共に流れ、私のテラスにやってきた。
 
 ささやかな朝だ。
 
 私は一人テラスに腰掛け、貴方の声と鳥たちの歌声を聴いている。
 音楽は自然の中から生まれ自然の中へと消えてゆく。
 天使と女神の出現は私から一時の消失を忘れさせる。
 深い悲しみは霧のようにやがて去る。
 
 それは朝だ。

 彷徨う優しさは光り輝く森と溶け合い、新しき調和が生まれる。
 美しき自然との融合。
 やがて歌声は光の輪となって天上へと昇ってゆく。
 優しさを纏って穏やかな貴方の声だけが私の心に今も響きわたる。
 錯乱と狂気がすっかり影を潜める森の中で私は・・。
 
 精神の解放。
 
 清らかな心で迎えよう。新しき日々を。
 そして私は一歩また一歩と踏み出すのだ。
 朝の奇跡を忘れないように。
 貴方の事を忘れないように。
 そして何より自分自身を見失わないように。

 解放の日。私の森は静かに輝いている。
 
 
 
 
 
 
 
 


自由詩 解放の日 Copyright ヒヤシンス 2017-06-24 07:03:36
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