夢の口
卯月とわ子

膨らんだ夢がわたしを喰らう
その大きく赤い口で
ガブリとひと口
鋭い歯が見えたでしょう
あれで傷をつけられてしまったら
もう誰も立ち上がれないわ

震える手を隠す必要なんて無いのに
貴方はいつも後ろに手を組んで
わたしに笑って見せている
だからわたしは嘘吐きになってしまうの
恐いものなんて無いわ、大丈夫よって
そんなの嘘よ
だって恐いものばかり目に飛び込んでくるんだから

一番怖いのがその夢よ
大きく膨らんでしまったソレは
いつわたしを飲み込もうかと待っている
貴方の後ろにも同じものが見えるわ
恐いのでしょう
わたしは恐いわ
だからいつも手が震えている

朝が来ても覚めない夢は
わたしを幸福になんてしてはくれない
貴方も同じでしょう
きっと


自由詩 夢の口 Copyright 卯月とわ子 2017-06-22 16:26:39
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