dawn squall
むぎのようこ

くちびるで食んで
とおくのあまおとを咀嚼する
溢れたにびいろの
くもは真上のそらにすくって
退屈な羽音が落下する
ゆるやかな日射し
あわい虹の弧をなぞった
声は幾重もの空鳴り
ラベリングされた現象を
すり抜けては降り注ぐ
したたった声に塗りつぶされた
足元の余白


さめるときには、指きり
わずらうばかりに
跳ねたつまさきの飛沫
ひたひたとまとわる皮膚の
もどかしい熱
ふられるままの身すら脱げ
あやうい傾きの月に
寄り添った雲間
加速する鼓動をなぞる舌
熟れていくやわさ
掬いとった視線


消しあうあまおとの、声の、
しらむ間に
隠しごと拾い上げて
のみくだすカルキ滲んだ薄紅、
心地よいけだるい
ちいさい
白いはこの中で閉塞する呼吸
いとわしいしめりけを
あらい射すひかり、







自由詩 dawn squall Copyright むぎのようこ 2017-06-18 00:02:58
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