living
やまうちあつし

家に戻ると白象がいる
リビングの大部分を占める巨体
なぜかしくしく泣いている
いったいどうやって
窓も玄関も
そんな大きさはないのに
どんなに宥めても
泣き止むことがない
仕方なく
買い物袋からピストルを取り出し
引き金を引く
何度も
何度も
象は微動だにせず
つぶらな瞳から溢れる滴
リビングはくれてやり
二階に上がることにする


自由詩 living Copyright やまうちあつし 2017-06-17 07:12:55
notebook Home