瓦礫 またたき
木立 悟
銀の銛が突き刺さり
青と金でできた腹から
ひまわり 硝子 晴れの日の雨
街の入口の門に散らばる
砕けひろがるものの先に
ちぎれた鉄や鉛があり
多眼の宝石の角度から
言葉のような光を返す
握りしめられ
したたり落ち
聴こえない影
粉の原の揺れ
光の音を泳ぐうち
少しずつ少しずつ剥がれゆき
波のなかの白濁の弓
器の内に濡れる霧の矢
闇が闇に尾を引きながら
何かが汚れるのを待っている
飛沫は飛沫を真似ながら
わずかに闇を散らしつづける
四ツ足の嵐が地を歩き
誰もいない街を洗う
冬の顔のひとつが夜を向き
砕けひろがるまたたきを視る
雪は森に頬を押し当て
倒れた木々は径へと変わり
岩の上の新たな門
新たな風を導いてゆく