少しずつけれど確実に
Lucy

空の青さが濃くなる日
木の葉も緑を濃くしていた

さくらこぶしりらこでまりなど白っぽい花が終わり

赤いサルビアが揺れる頃

濃い血の色をしたワインを飲み干し
ラベンダーの香りが漂う
紫の庭

西陽が真横から
あかあかと照りつける

少しずつゆっくり狂いながら
その人はセキレイに
話しかけている
ねえ
怜子ちゃん
あんた覚えてる?去年もここであったわね
あいもかわらずせかせかと
小股で急ぎ足

飛べばいいじゃん
なんのための羽なのさ

一歩近づくとちょと逃げる
知らん顔してるとよってくる

いいかい私は鳥なんて餌付けするキャラじゃないからね

猫だって追い払うんだから

草花だって
勝手に生えてきたやつは
容赦なく抜いてしまうよ
どんなに可愛い花をつけてみせたって
ダメなの
私が植えた花以外は
許さない
私が水をやり肥料を施し
それぞれの立ち位置を決め
手ずから煉瓦を並べた私の庭

勝手に歩くんじゃないよセキレイ
勝手に咲くんじゃないよタンポポ

咲いて欲しい薔薇はなかなか咲かず
蕾のうちに
虫に食われ続けている





自由詩 少しずつけれど確実に Copyright Lucy 2017-06-16 10:59:25
notebook Home