春の覚醒
藤鈴呼


実も心も引き締まるような
しばれる風が 空気を切り裂く

雲が割れる理由は
大抵そんなことろだ

皆が転寝したくなる陽気に
瞳を見開いて

ヒラ 平 片と繋がる花びらと
雛と惑う親心を掌に乗せたら
警笛が響いた

それは 何処までも平衡な レールの代わりに
そして 何時までも均衡な 関係の終わりに

指が痛むほどの花びら
小さく解けた 赤い糸のように
花びらの形としては
もはや 存在しない

例えば ハート型だったりした夜は
若干の期待を寄せた
温もりの外では シーツが弾けた

それが 一つ目の合図

風船は認められて 飛ばされる夢を見る
未だ空気の準備も 整ってはいないのに
或いは 穴が 開いたままだと
知っていて

葡萄のような黄色い実が
黍団子に思えて 仕方なかったのは
最近 良く見た キビタキの所為なのでしょう

名前が覚えられなかったから
そうしたのです

脳裏に浮かべた団子と滝が
幻想的にフラッシュバックされた
上目使いに記憶を弄ると
それは パチ・パチ と
暖炉の中を思わせた

軽く跨いだ薪も
もう 必要ないのです
メラメラと燃え続ける焔は
さにあらず
何時かのワタクシめの
嫉妬だったのでしょうか

目覚めよと 唱える代わりに啼く鳥を
地上に近い場所で 見つめている
空を
見上げても
空は
何処までも 遠く
何時までも 青かったから

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自由詩 春の覚醒 Copyright 藤鈴呼 2017-06-08 09:12:20
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