ニュートラル
本田憲嵩

おぼつかない
てのひらでうけとった
灰色の雲間からの
太陽球のささやかな光筋に
もうすでに摩耗しきった熱の残滓
会話と歩幅に
かたつむりの速度を馴染ませた
潤いの傘の季節
かつての興隆とやがての果実の腐敗に
傾斜せずに頬骨の硬さを求め
けれども幾度となく巡ってしまう
綴り綴られた文字は
屠るためのものでしたか?
背を向けたまま
遠ざかってゆく
あなたの白いシャツの芳香に
新調の便箋を見いだし
さわやかな風が容赦なく
吹きつける


澱んだ肺胞にまで
否応なく
清涼となった崖上
ニュートラルレバーが立ち尽くす



自由詩 ニュートラル Copyright 本田憲嵩 2017-06-06 21:37:42
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