血一滴
坂本瞳子

血の滲んだ跡が
愛おしくて
頬に押し当てたまま
夜が明けるまで
このままでいよう

舐めるでもなく
拭うでもなく
頬ずりして
頬ずりして
一晩を明かす

なんでもない
大したことではない
ごくありふれた
日常の愛情表現
ただそれだけのこと

理解などしていらない
私の異常な愛情だとか
そんな大袈裟なことではない
ただこうしていたい
ほんのそれだけ


自由詩 血一滴 Copyright 坂本瞳子 2017-06-06 00:21:08
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